『Heikalaイラスト作品集 アートワークとクリエーションの秘密』解説
今回は『Heikalaイラスト作品集 アートワークとクリエーションの秘密』を解説します。
作品を紹介しながら画集の特徴やHeikalaさんの作風について解説していきます。
Heikalaとは?
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Heikalaはフィンランドを拠点に活動するイラストレーター。
幻想的な世界観と親しみやすさのあるデザインが特徴で、世界中から絶大な支持を集めています。
日本でもコミティアなどのイベントに何度か参加されていて、作品の中にも日本文化からの影響を感じることができます。
Twitter:@heikala_art
Instagram:@heikala
Tumbler:@heikala
『Heikalaイラスト作品集 アートワークとクリエーションの秘密』の特徴
今作はHeikalaというイラストレーターの活動を作品と一緒に追える一冊になっています。
単にイラストだけを眺めるだけの画集ではなく、解説文のボリュームがしっかりしているので読み物としても楽しめるのが特徴です。
構成について
今作はHeikalaの来歴や作品を構成している要素ごとにチャプターがまとめられています。
特に前半は幼少期に受けた教育やフィンランドの文化についてだったりと、イラストレーターの作品集としては珍しい内容が語られています。
本の構成
①アートへの道のり
②舞台裏
③インスピレーションとアイデア
④技法とアプローチ
⑤キャリアを築く
⑥レッスン
収録作品
それでは収録されている作品の一部を紹介していきます。
おばあちゃんのマント
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Heikala作品の特徴は自然と人の調和です。
フィンランドの美しい自然からインスピレーションを受け、そこにストーリー性を織り込んだイラストはどれも独特な雰囲気を醸し出しています。
どれも描かれたシーンを前後を想像させるようなフックが用意されているのも特徴で、親しみやすさと深い世界観が感じられます。
池
Heikalaさんはどの作品もアナログ画材で制作しています。
アナログ特有のにじみや色ムラは自然な雰囲気のイラストにぴったり。
HeikalaさんがSNSに投稿する制作過程の動画も見ていてワクワクするものばかりです。
また今回の作品集にはスケッチも多く収録されています。
1ページにぎっしり敷き詰められたHeikalaさんのスケッチには、溢れんばかりのインスピレーションがつまっていて1つの作品のようになっています。
こうしたHeikalaさんがふだん感じていることが垣間見えるのもこの作品集の魅力です。
ロヴィアタル
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フィンランドといえばムーミンが有名ですが、Heikalaさんの作品にも北欧を思わせるファンタジー要素が散りばめられています。
このイラストの女性はフィンランド神話に登場する死の女神「ロヴィアタル」で、暗く威圧感のある人物として描かれています。
ただ画面全体をよどんだ雰囲気にするのではなく、カラスで程よく抜け感を出して親しみのある絵にしているのはHeikalaさんらしいです。
聞こえた?
Heikalaさんの作品世界の特徴は自然と人が親密で対等に描かれているところ。
雄大だったり人知を超えた存在として描かれることの多い自然ですが、Heikala作品では家族や友人のように描かれています。
この人とクマのイラストも緊迫した表情ながらもどこか童話のワンシーンのような空気が流れています。
寄り合い
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Heikalaさんは日本のポップカルチャーの影響も多く受けているクリエーターです。
特にコミックはキャラクターの造形に大きな影響を与えていて、コミカルながら全体のデザインに調和したキャラデザを生み出しています。
他にも日本家屋や庭園、寺社仏閣などは作品のいたるところに散りばめられ、北欧文化と合わさった独自の魅力につながっています。
発見
Heikalaさんの代表的な作品。
構図や植物の描き方、光の当て方など様々な部分にHeikalaさんらしい部分を感じられるイラストになっています。
どこか神秘的でみずみずしく、まさにこれから物語が動き出しそうな高揚感のあるワンシーンです。
まねき猫
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チャプター⑤「キャリアを築く」にてHeikala作品の重要な要素のひとつとして挙げられているのがグラフィックデザイン。
細部まで考え抜かれたHeikalaさんのグラフィックデザインはグッズでもシンボルとして存在感を放っています。
この「まねき猫」のイラストもピンバッジやスタンプ、作品の背景など様々な場所で使われている人気のデザイン。
媒体を問わず自然に使える洗練されたキャラクターはHeikalaさんらしいデザインです。
大地
Heikalaさん個人で制作した2作目のアートブック『かつて』の表紙に使用されたイラスト。
このアートブックは背景に力を入れたものになっているんですが、このイラストにもHeikalaさんらしい景色の表現がつまっています。
このイラストは魔女やモンスターといった分かりやすいキャラクター要素がなく、登場人物の女の子と猫は背中を向けています。
ただそれでもストーリー性が感じられるのがHeikalaさんの作品。
空から草木にかけて移り変わる色の変化や女の子の後ろに伸びる影など、ひとつひとつの要素を合わせて空気感を表現しています。
屋根裏
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チャプター⑥の「レッスン」にメイキングが載っている作品。
右側に描かれた幽霊的な生物がかわいすぎます。
この「おばけ」は時々Heikalaさんのイラストに出てくるのですが、きわめてシンプルなデザインがマスコットキャラクター的な愛嬌を放っています。
メイキングはラフのイラストも掲載されているんですが、完成品よりコミックっぽい雰囲気が出ていておもしろいです。
またメイキング解説もアナログイラストの制作手順やコツなどがしっかり抑えられていて、アナログ絵にも挑戦したい方におすすめできる内容になっています。
新しい世界が楽しめる一冊
今回は『Heikalaイラスト作品集 アートワークとクリエーションの秘密』について紹介してきました。
Heikalaさん初となる画集ですが、イラストも解説もぎっしりでかなり満足度の高い一冊になっています。
特に解説文の質が高く、Heikalaさんがどんなことを考えて作品を作っているかがよくわかるものになっています。
またアイデアの生み出し方などにも言及されていて、イラストレーター以外の人にもきっと刺さるはずです。
Heikalaさんが好きな人はもちろん、北欧の文化やデザインに興味がある人もぜひ読んで欲しいです。
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