リトルサンダー 作品集『SCENT OF HONG KONG』レビュー
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今回紹介するのはリトルサンダーさんの作品集『SCENT OF HONG KONG』です。
日本でリトルサンダーさんの作品集が出版されるのは『SISTER HOOD』以来2作目ですが、収録作品の雰囲気が変わっていてより今っぽいものになっています。
リトルサンダーの特徴などは▼リトルサンダー・画集 『SISTER HOOD』を解説で紹介しているので見てください。
リトルサンダーとは?
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リトルサンダー(門小雷)は香港を拠点に活動するイラストレーターです。
今作は住み続けた香港をテーマにした作品集と言うこともあり、より街の風景や情緒が味わえるものになっています。
作品集『SCENT OF HONG KONG』の特徴
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『SCENT OF HONG KONG』という名の通り、この作品集は「香港の香り」を表現した作品集になっています。
全体的に香港らしい街並みが描かれた作品が多く、リトルサンダーらしい柔らかいタッチで表現されています。
本の前書きには香港という名前の由来についての話があり、香港原産の香木「牙香樹」がなくなっていくのと変わりゆく香港の街が重ねて語られているのが印象的です。
リトルサンダーの作品に惹かれた人だけでなく、香港の街並みに興味がある人にも間違いなく刺さる作品集でしょう。
構成について
『SCENT OF HONG KONG』は大きく分けて3つのチャプターに分かれています。
チャプターごとの表題と内容はこんな感じです。
本の構成
①SCENT OF HONG KONG:作品集用の描き下ろし作品33点
②SKETCH:①のラフスケッチ
③COLLECTION:人気作品&未発表作品
今作の見どころはやはり『SCENT OF HONG KONG』用に描き下ろされた作品33点。
香港というテーマがあるので収録作品全体に統一感があり、イラスト集としての完成度が非常に高いです。
また未発表作品も多く収録されているのでいつもとは少し違ったリトルサンダー作品も楽しめます。
収録作品
それでは『SCENT OF HONG KONG』に収録されている作品を紹介していきます。
Double Happiness
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まず紹介するのはこちらの情緒しかないイラスト。
中華料理屋にチャイナドレス、派手な髪色の女の子といった感じでリトルサンダーらしい要素が詰め込まれています。
今作「SCENT OF HONG KONG」の女の子は前作「SISTER HOOD」の頃に比べて派手で未来っぽい雰囲気を放っています。
どこか野暮ったさのあった女の子はより洗練され、香港の美しい風景の中で生き生きと描かれているのが特徴です。
I Got You And You Got Me
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今作には巨女が登場するイラストが多く収録されています。
その中でもインパクトが強いのがこのイラスト。
女の子だけでなく猫まで巨大になっていて、大きな猫の目は思わず目をひいてしまいます。
また今作の巨女作品は女の子と香港の街並みが調和しているのがポイント。
まさにフェチと香港らしい風景を一緒に詰め込んだ贅沢なイラストになっています。
Highway To The Void
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今作の裏表紙にもなっている作品。
猫、本、女の子と思わず見入ってしまうものが画面に敷き詰められています。
このイラストの魅力は女の子の存在感。
本棚のあいだから見えるピンク色の髪や静謐な表情が女の子のミステリアスさを良い具合に引き立てています。
とてもカラフルで物量の多い作品ですが、本や猫の配置で導線を作って女の子をしっかり主人公に仕立て上げています。
Homesick But Homeless
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実際にある船をモチーフにしたイラスト。
行ったことが無くてもどこか懐かしく感じられるリトルサンダーらしい作品で、ゆったりとした時間が流れています。
風の動きや暖かい陽射しの表現が豊かで、波の音や船のエンジン音が聞こえてきそうです。
TO-DAY Is Not A Promise
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おすすめの巨女イラストその2。
香港の有名な建築物「皇都戲院」を舞台にした作品です。
「皇都戲院」はかつて映画館として栄えた建物でしたが、今では寂れたショッピングモールとなり何度も取り壊しの話が取りざたされてきました。
そんななか市民団体からの働きかけもあり、現在は建物保存へと動き出しています。
再び映画館として利用する計画になっており、イラストの女の子は再び賑わう日をじっと待っているようです。
まとめ
今回はリトルサンダーの作品集『SCENT OF HONG KONG』を紹介してきました。
今作は収録作品の多くがこの作品集用に描き下ろされたイラストなので、とても全体の完成度が高い1冊になっています。
1つ1つの作品も「女の子と街」という入っていきやすいテーマで、リトルサンダーを知るにはうってつけです。
どれも情緒あふれるイラストばかりなので、この記事を読んでピンときた人なら間違いなく買って満足できるはずです。
リトルサンダーをはじめ海外イラストレーターに興味が出てきた人は▼海外イラストレーター紹介に記事がまとめられているので見てください。