イラスト集 くっか

【おすすめ画集】くっか イラスト集『KUKKA』解説

くっか イラスト集『KUKKA』を解説

今回レビューするのは、くっかさんのイラスト集『KUKKA』です。

今まで紹介してきた画集の中でも指折りの名作とも言っていいようなクオリティなので、まだよく知らないという人はぜひ見ていってください。

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くっかとは?

https://hamukukka.tumblr.com/post/143447400191/watercolor

PN:くっか

血液型:A型

星座:天秤座

抹茶と齧歯類が好きなイラストレーター。独自のファンタジーな世界観をダイナミックに表現したイラストが人気。

『KUKKA』の特徴

イラスト集『KUKKA』はくっか第一作目となる作品集。

SNSなどでくっかさんの作品を見たことがある人なら分かると思うのですが、くっかさんの作品はどれも描き込みが凄まじく、スマホの小さな画面では十分に表現しきれないものばかりです。

それだけにこの作品集を待ち望んでいた人は多かったのではないでしょうか。

今作はかなり横に長い本になっていて、基本的には見開きでひとつの作品が収録されているのですが、ひとつひとつのイラストの迫力がすごいです。

くっかさんの作品は遠近感を駆使してダイナミックな画づくりがされているのですが、今回の作品集はそれをしっかり味わえるように作られていると感じました。

構成について

『KUKKA』では大きく3つのチャプターに分けてイラストが収録されています。

チャプターごとの表題はこんな感じです。

本の構成

①ORIGINAL

②WORKS

③ラフスケッチ・インタビュー

収録作品

それでは『KUKKA』に収録されている作品をチャプターごとに紹介していきます。

①ORIGINAL

 完全倦怠食

これから紹介するイラストのどれもが名作ですが、これはくっかさんの作風が凝縮されているような作品だと思います。

画面の奥行き、物量、ストーリー性のどれもがハイレベルにまとまっているイラスト。

くっかさんの魅力はその美しさはもちろんですが、なんといっても「違和感」のつくり方が見事なところだと思います。

ずらりと瓶や保存袋が並ぶ景色はまるで実験室のようですし、袋を開封するパジャマ姿の女性は研究員のようにも見えます。

ただ風邪をひいてリビングにいるだけの風景でも、こうした要素が積み重なることで何か別の意味をもった景色にも見えてきます。

よくよく見ると何気ないような景色でも少し違和感をプラスすることで、美しくて何か惹かれてしまう絵にしているところがくっかさんの作品の特徴もあります。

癒魚

これもくっかさんの代表的な作品。

他の作品にも当てはまることなのですが、本当に光の使い方が見事なんですよね。

このイラストは全体的に和のテイストが散りばめられた作品なのですが、それ以上に光に照らされた美女に目が行く作品になっています。

このあたりが本当に巧いと思う所なのですが、通常は和のテイストと言うと衣装や背景など和を全面に押し出したような作品になりがちです。

でもよくよく考えると描きたいものや観たいものは「和のテイストが加わった美女のイラスト」であって、「美しい女性が出ている和のイラスト」ではないんですよね。

あくまで目的はメインである美女をより魅力的に見せること。

水着の上に羽織った和服や木々に囲まれた鳥居など、和の要素はしっかりあるもののそこまで主張していません。

この絵でスポットライトを浴びているのは柿に口をつける美しい女性。

確かに和の要素はあるのですが、そこを押し出していないところが逆に和装の美しさを引き出しているようにも見えます。

Living with a hobby

こういう部屋に住みたい。

そんな風に思える作品が多いのもくっかさんの魅力。

立体感と光の使い方が非常に巧いだけあって、当然部屋やインテリアも映えるものになります。

あとこの絵の部屋に大きな鳥がいることに気付いた人はどれくらいいるでしょうか?

彼の作品にはよく動物が登場するのですが、この鳥もその一つ。

一見遊びのようにも見えますが、これも「違和感」として作品の奥深さを掘り下げるのに一役買っています。

犬神の憑く睡蓮鉢カフェ

動物がいる部屋、その2。

今度は黒いオオカミ。シックな部屋にマッチしています。

また小さい犬が何匹かいるのもおもしろいですね。

人間から考えるとオオカミのサイズが異常に大きいのですが、植木鉢なども同じように大きいので人間が小人のようにも見えてくる。

こうやって動物やインテリアを使ってストーリー性をより奥深いものにしている辺りが、くっかさんらしいところでもあります。

tropical rium

”tropical rium”という名前の通り、ハーバリウムをテーマにした作品。

ハーバリウムはくっかさんがずっと描き続けているテーマで、いずれも花や植物とファンタジーが組み合わさった世界観になっています。

まさにインテリアや植物を多く扱うくっかさんに合うテーマで、まさにこれから物語が始まりそうな風景が描かれています。

じめじめ日和

爬虫類好きにはたまらない作品。

ヤモリとかカエルって哺乳類とも魚とも違った表情をするんですよね。

この作品ではまるで人のように振舞っていますが、しっかりと爬虫類っぽい表情が捉えられていて独特な可愛さが滲んでいます。

あとなんでカエルってこんなに和服が似合うんでしょうね。

縁側で本を読んでいる姿なんておじいちゃんそのもので、中々な貫禄が出ています。

両脇に写っているトカゲもかなり渋めな雰囲気が漂っていて、しっかりとキャラが立っています。

自分は大体どの程度の擬人化でも楽しめるのですが、やはり絵本っぽい世界観だとこのくらい動物強めの擬人化の方が雰囲気出ますね。

ピーチティーウピール

花屋みたいなカフェのイラストです。

こういうカフェに通いたい。

またもや光の表現技法が爆発している作品なのですが、巧さを感じるのは光源が複数あるところ。

吊り下げられているライトはもちろん、左側奥の電球型ライトや机の上のロウソク、外の明りと様々なところに光源があるのが分かります。

さらにその光源に照らされているのは背景やテーブルなどで、この絵の主役である女の子たちではないんですよね。

どうしてもキャラを目立たせたくなるところですが、それをしないところに「空気を描く」をいう意志を感じます。

今回紹介するイラストもキャラクターをライトアップしているイラストは少なめ。

考えてみれば実際の部屋でも間接照明で照らすくらいが一番雰囲気が出たりするんですよね。

どのイラストもキャラクターの周りは「間接照明くらいの明るさ」や「外の景色にある日影」くらいの明るさに抑えられていて、いかに絵の雰囲気を出すか考えられているのが伝わってきます

雨意鼠

名作ぞろいの今作の収録作品の中でも一際カッコよさが凝縮された作品。

街の空気感、劣化した金属の質感、炎の表現、サングラスに反射された光、そのどれもがハイレベルで見惚れてしまうものばかり。

このイラストを見た瞬間、あまりのカッコよさに興奮して声が漏れてしまいました。

とにかく素晴らしいのはこのイラストの続きが見たいと思えるところですね。

アングルやキャラクターの立ち位置から2人の関係性がなんとなく伝わってくる上、全体的に暗い絵にしたことでよりミステリアスな雰囲気が生れています。

鼠が塩引く夏至の思い出

こちらも空気感の再現が見事なイラスト。

木陰にいる獣人を描いた作品なのですが、タヌキっぽい女の子以上にこの夏らしい景色に魅了されてしまいます。

手前のトマトや青々と茂る草木で十分に季節感を出せているのが凄い。

女の子の服装といった季節感を決定づける描写もあるのですが、しっかりと見なくてもなんとなく夏だと思える絵になっているんですよね。

そうした印象を光の強さや奥をぼやかすことで生まれる多湿な感じで表していて、このあたりは単純に巧いだけではないくっかさんならではのセンスを感じます。

一尾飛ぶと下に千尾

ここから空をテーマにしたイラストを紹介していきます。

植物やインテリア、建物だけでなく空の描写もハイクオリティなのがくっかさんの特徴。

特に空のイラストはくっかさんの空気に対する捉え方が非常によく出ている作品だと思います。

1つ目は空飛ぶトビウオのイラストなのですが、本当に構図が素晴らしすぎる。

連なって飛ぶ魚たちが気流のようになっていて、絵に流れを作り出しています。

あと右側に女の子の日常風景が描かれていることで、日常と非日常のコントラストが生れているのもカッコいい。

雨催いの清掃員

こちらはさらにファンタジー感強めな作品2つ。

どちらとも魔女のように空を飛んでいるイラストで、身につけている服装からも同じ世界観であることが分かります。

背景に映る建物が木々に覆われているのも興味を惹かれるポイント。

こうした違和感のある要素があるだけで一気に想像が広がり、深みのあるイラストに見えます。

何気に箒ではなくモップで空を飛んでいるのも近未来感のある背景に合っている気がします。

雀始巣

くっかさんの作品は建物や植物の描写が細かい分、こうした和の空気を上手く醸し出している作品も多いです。

何気ない夕方の玄関口なのに絶対何か出る雰囲気が漂っています。

それにしてもこの狭い間口にボロボロのトタン屋根やむき出しの配線など、昭和っぽい日本家屋の特徴が凝縮されています。

この雑多だけど静けさのあるところは良質なミステリー文学らしい緊迫感があっていいですね。

魔女を連れて鴻雁来

こちらはミステリーというより純文学なイラスト。

先ほどのイラストとは違う澄んだ冬の静けさが表現されています。

始めに紹介したイラストなんかと見比べてほしいのですが、描かれているイラストの印象がまったく違うことに驚かされるはずです。

正直、同じイラストレーターが描いた作品はやはり作者が同じなだけあって似たような雰囲気になりそうなもの。

くっかさんの凄いところは作品によって観る側が感じるイメージがかなり違う所だと思います。

もちろんいくつか共通した要素はありますが、それでもイラストの演出方法や細かな光の表現などで作品の空気をかなり多彩なものにしています。

くっかさんはこうした「空気」を描くことに長けたイラストレーターで、それだけにより作品に没入できる画集や作品展でさらに魅力的に見えるクリエイターともいえます。

間違いなくトップレベルの技術を持っている人なので、これからもっと色々な媒体で見てみたいです。

②WORKS

2つ目のチャプターではくっかさんが手掛けてきた商業作品が収録されています。

特徴としては音楽とのコラボレーションが多いところ。

やはり世界観の表現が幅広いくっかさんだけあって、どのジャケットや動画用のイラストも音楽をよりドラマチックにするものになっています。

After the Rain 伍『人生逆転の神業』


ボーカルユニット・After the Rainの楽曲『人生逆転の神業』のミュージックビデオに使われたイラスト。

厭世的なメッセージが強めの楽曲なだけあって、バックボーンとなる退廃的な雰囲気を前面に出しています。

オリジナル作品とは違った世界観なだけに普段あまり使わない色味になっているところもポイント。

チャプター1では自然光や間接照明が多かったのに対して、この作品では蛍光色や人工的な緑色の光が多用されています。

【MV】人生逆転の神業/After the Rain【そらる×まふまふ】

『7×2つの大罪』


こちらも同じくAfter the Rain関連のイラスト。

アルバム「7×2つの大罪」のジャケットということで各楽曲のイメージが盛り込まれたものになっています。

どの部分がどの楽曲のイメージなのか知りたい方はYouTubeにあるクロスフェード動画を見てもらったら分かるようになています。

7×2つの大罪-XFD- / After the Rain(そらる×まふまふ)

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アリア

ミスミさんの楽曲『アリア』のために描き下ろされたこちらのイラスト。

楽曲の持つ宇宙っぽさのある音のイメージにぴったりな世界観です。

こちらはオリジナルの作品に近い雰囲気で、キャラクターよりも風景で魅せるスタイルですね。

楽曲の動画は静止画ですが、特に演出などが無くても見入ってしまえるあたり、いかにハイクオリティで曲にマッチしているのかが伺えます。

アリア/初音ミク

PAIN

音楽ユニット・DUSTCELLによる楽曲『PAIN』のMVに使われているこちらのイラスト。

DUSTCELLさんの音作りはくっかさんのイラストとの相性が非常にいい気がします。

どちらとも透明感や奥行きといったものを非常に意識した作品作りをしていて、ジャンルは違うもののかなり似ているところのあるクリエイターだと感じました。

DUSTCELL - PAIN

まとめ

というわけで今回はくっかさんの初作品集『KUKKA』を紹介してみました。

冒頭でも言いましたが、もう間違いなく今季最高レベルの作品集と言っていいと思います。

それくらい単純な絵のクオリティが高いし、とにかく見入ってしまう。

こうした緻密なイラストを得意とするイラストレーターはバンバン絵を描いてSNSなどにアップするというスタンスは取りにくいのですが、くっかさんは一つの作品で人を魅了する力があると思います。

それだけにこの作品集が多くの人に届いてもっと評価されて欲しいと思わずにはいられないです。

-イラスト集, くっか

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