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今回紹介するのは、友野るい(@kyame)さんです。
その特徴はとにかく練りに練られた独自の世界観。
和、アングラ、サイバーパンク、妖怪などの要素を巧みに組み合わせてアクが強めながらもどこか惹かれてしまう世界を作りあげています。
ゲーム『死印』ではコンセプトアートを担当。
ホラーでありながら単なるグロテスクではないイラストは見た人の頭に強く刻まれるものばかりです。
アングラ×妖怪
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まずは友野さんの作品を象徴するような一作。
夜の歌舞伎町に現れた異形の存在とそれに対峙する制服姿の女性。
実に様々な要素が組み合わさった作品ですが、そのどれもが強いストーリー性を引き出しています。
友野さんの作品はこうした賑やかな繁華街に妖怪などの異形の存在を登場させるものが多く、どれも明と暗のコントラストが非常にカッコいいです。
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そしてこちらが戦闘シーン。
マスクを被った女性が妖怪と戦っているのですが、この一枚のイラストの中に様々な「和」の要素が組み込まれています。
もちろん舞台が歌舞伎町という日本を代表する繁華街というのもあるのですが、それ以外にも能面のような顔をした妖怪や刀など日本的な要素が随所に見られます。
ただ両手に刀を持って戦っている女性はプロレスラーのようではありますが、いわゆるヒーローといった雰囲気ではない。戦っているのが異形の存在でなければ敵のような見た目にも見えます。
そうしたステレオタイプに収まらない複雑さこそが友野さんが描く世界観の魅力でしょう。
和とサイバーパンク
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一目見た瞬間からテンションが上がってしまうイラストです。
先ほどから続く荒廃した歌舞伎町をバックに描かれた二人の人物。
身体の至る所に表示された電子情報やその無骨なフォントが世界観を物語っています。
こうしたサイバーな要素そのものも良いのですが、何よりも惹きつけられるのは後ろに広がる街並みとのギャップ。
街の至る所にネオンや提灯が光り輝き、古びた看板がぶら下げられているボロボロのアーケードはとても未来感のある風景ではありません。
こうした時代から取り残された街並みだからこそ主人公たちが身につけるサイバーな要素がより輝くのでしょう。
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また設定上警察であるにも関わらずアウトローのような見た目の仲間たちも魅力的です。
この面を付けてピンク色の髪を振りながら刀を抜こうとする女性は、警察の制服を着ているにも関わらず反社会勢力のような雰囲気を放っています。
また刀の鞘に施された模様や右肩の肩当なども雰囲気を出すのに一役買っています。
こうした装飾的な物を身につければ身につけるほど「公務」のイメージからはどんどん離れていって、より無秩序さが際立つのです。
無秩序だから浮き上がるキャラクターの美しさ
世界観の構築には魅力的なキャラクターのデザインが欠かせません。
当然世界観とマッチしたキャラクターが描かれているのですが、友野さんの作品は世界観を荒廃させることでよりキャラクターを美しく見せているところがポイントです。
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この作品は今まで紹介してきたイラストにも描かれていた二人の警察官が描かれていますが、二人ともかなり独特な佇まいです。
左の面を付けた女性はともかく、左の女性も付けているマスクに蒔絵のような模様が施されていたりとどこか普通とは違う雰囲気です。
こうした奇抜にも見える二人がとても美しく見えるのは背景に広がる世界が混沌としているからでしょう。
人は物を見るとき、色々なものを比較しながら見ています。
アイドルのように周りに綺麗な人が大勢いると比較対象がみんな綺麗なものばかりなので余程目立った美しさでないと埋もれてしまいます。
それに対して友野さんの作品に描かれているのは荒んだネオン街や夜の街を暴れまわる妖怪のような美しさとは無縁の物ばかり。
だからこそそこに顔の整った女性がいるといつも以上に美しさが際立つのです。
まとめ
今回は独自の世界観が魅力的なイラストレーターということで、友野るいさんの作品を紹介しました。
友野さんの作品は『VISIONS 2021』にも収録されています。
Pixivが監修しているだけあって、今を代表するクリエイターの作品がまとめられています。
自分好みの作品を探してみたいという方や人気のイラストレーターについて知りたいという方にはおすすめです。
・友野さんの作品を深く知りたい方はこちら
FANBOXにて製作過程や設定解説などが公開されています。
奥深い友野さんの世界観に触れたい方や応援したい方はぜひ。